オールドトムジンとは|甘口ジンの由来とトムコリンズとの関係
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最終更新 2026-09-29
オールドトムジンは、18世紀のイングランドで広まった、ロンドン・ドライ・ジンよりやや甘口のジンです。EUと英国の酒類規則にはオールドトムジン専用のカテゴリーがなく、甘さの量を定めた公的な基準もありません。
早見表
| カテゴリー | 規則(EU)2019/787附属書Iの番号 | 最低アルコール分 | 加糖の扱い |
|---|---|---|---|
| ジン | 20 | 37.5% | 「ドライ」を名乗る場合は1Lあたり0.1g以下(転化糖換算)。名乗らなければ上限の規定なし |
| 蒸留ジン | 21 | 37.5% | 「ドライ」を名乗る場合は1Lあたり0.1g以下 |
| ロンドン・ジン | 22 | 37.5% | 1Lあたり0.1g以下(着色も不可) |
| オールドトムジン | 専用の番号なし | 専用の規定なし(「ジン」として売るなら上の各区分の基準) | 専用の規定なし |
附属書Iには1から44まで44のカテゴリーが並びますが、「オールドトム」という名称のカテゴリーはありません。オールドトムを名乗る製品も、EU・英国で「ジン」として売る場合はカテゴリー20〜22のいずれかの要件を満たす必要があります。加糖が1Lあたり0.1gを超える製品は、「ロンドン・ジン」も「ドライ」も名乗れません。
甘さの位置づけ:ロンドン・ドライとジュネヴァの間
オールドトムジンは18世紀に生まれた柔らかく甘めのスタイルで、砂糖を含む製品が多いジンです。ロンドン・ドライ・ジンよりやや甘く、オランダのジュネヴァよりはやや辛口とされ、その位置から「ミッシングリンク(失われた環)」と呼ばれることがあります。
名前の由来
名前の由来として伝わっているのは、18世紀のイングランドで一部のパブの外壁、歩道の上に掲げられた黒猫(オールドトム)形の木製看板にちなむという説です。看板の猫の足もとには硬貨の投入口と鉛の管があり、硬貨を入れると、店内のバーテンダーが注いだ1杯分のジンが管から出てきたとされます。
背景には、18世紀前半の「ジン・クレイズ」と呼ばれるジンの大流行があります。英国議会は1729年、1736年、1743年、1747年、1751年とジン法を定めました。1736年のジン法はスピリッツの小売に1ガロンあたり20シリングの税を課し、販売者に年50ポンドの免許を求めたもので、この免許を取ったのは2件だけだったとされます。重い税と免許制でジンの取引は地下にもぐり、看板の仕掛けはそうした時期のものと説明されています。
この由来は英語版ウィキペディアでも「〜とされる」という書き方で紹介されており、当サイトも確定した話としては扱いません。
ロンドン・ドライの台頭と近年の復活
1826年と1831年に連続式蒸留機が考案・改良されると、中性スピリッツの蒸留が実用的になり、19世紀後半にかけて「ロンドン・ドライ」のスタイルが形づくられました。オールドトムジンは現代には珍しい存在になりましたが、クラフトカクテルの流れのなかで再び造られるようになっています。
ヘイマンズ蒸溜所がオリジナルのレシピにもとづいてオールドトムジンを再発売し、その後、タンカレーやコッツウォルズ蒸溜所など複数の造り手が続きました。ヘイマンズは自社のオールドトム(アルコール分41.4%)を、160年前から続く家族のレシピで蒸溜していると説明しています。当サイトのオールドトムのページに該当銘柄をまとめています。
トムコリンズとの関係
オールドトムジンは、19世紀のカクテルの本に名前が残っています。ジェリー・トーマスの1887年の『Bartender's Guide』は、マルティネスにオールドトムジンを指定しています。1882年出版の『Harry Johnson's New and Improved Bartender's Manual』には、オールドトムジンを使うトムコリンズと、ホーランドジン(現在のジュネヴァとみられる)を使うジョンコリンズの両方が載っており、トムコリンズにオールドトムジンを使った早い時期の記録とされています。
名前の変化については、1869年のレシピでオールドトムジンが指定されていたことが、ジェリー・トーマスの1887年のレシピで「トムコリンズ」と呼ばれるようになった理由の一つと考えられる、という説があります(英語版ウィキペディアのトムコリンズの項目)。ほかのジンのカクテルはジンのカクテルにまとめています。
買うときに見るところ
EU・英国の規則にオールドトムジン専用の定義はなく、ラベルの「Old Tom」の語だけでは甘さの度合いはわかりません。甘さや製法は、各社の商品説明やラベルの原材料表示で個別に確かめることになります。名称に「London Gin」とある製品や「Dry」を名乗る製品は、加糖が1Lあたり0.1g以下です。「Distilled Gin」の表記だけなら、加糖の上限はありません。
甘口のジン系の酒にはスロージンもあります。こちらは規則(EU)2019/787附属書Iのカテゴリー35に定義があり、最低アルコール分25%のリキュールとされています。規則上の定義があるかどうかが、オールドトムジンとの違いです。
出典
読んだあとの一本
家で試すなら
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よくある質問
- オールドトムジンとは何ですか。
- 18世紀のイングランドで広まった、ロンドン・ドライ・ジンよりやや甘口のジンで、砂糖を含む製品が多いスタイルです。EUと英国の酒類規則には専用のカテゴリーがなく、「ジン」として売る場合はジンのカテゴリー(最低アルコール分37.5%)の要件に従います。
- オールドトムジンという名前の由来は何ですか。
- 18世紀のイングランドで、パブの外壁に掲げられた黒猫(オールドトム)形の木製看板に由来するという説が伝わっています。看板の投入口に硬貨を入れると、店内で注がれたジンが鉛の管から出てきたとされます。確定した由来ではなく、英語版ウィキペディアも「〜とされる」という書き方で紹介しています。
- トムコリンズという名前はオールドトムジンと関係がありますか。
- 1882年出版のハリー・ジョンソンの『Bartender's Manual』には、オールドトムジンを使うトムコリンズと、ホーランドジンを使うジョンコリンズの両方が載っています。オールドトムジンを指定したレシピが「トムコリンズ」という名前につながったという説があります。
