ロンドンドライジンとは|ロンドン産でなくてよい理由と定義
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最終更新 2026-09-29
ロンドンドライジンは、産地ではなく製法を指す名称です。EU規則2019/787は「ロンドン・ジン」を蒸溜ジンの一区分として定義しており、その要件に産地の条件はないため、ロンドン以外で造られた製品も名乗れます。
早見表
| 区分 | 香りづけの方法 | 蒸溜液のアルコール分 | 蒸溜後に加えてよいもの | 最低アルコール分 |
|---|---|---|---|---|
| ジン | 農業原料由来のエチルアルコールに、香味料・香味製剤でジュニパーの香味をつける | 規定なし | ―(蒸溜を求めない区分) | 37.5% |
| 蒸溜ジン | 初期アルコール分96%以上のエチルアルコールを、ジュニパーほか天然植物と共に蒸溜 | 規定なし | 同じ品質のエチルアルコール、香味料・香味製剤 | 37.5% |
| ロンドン・ジン | 使用する天然植物すべてと共に蒸溜する工程だけで香りをつける | 70%以上 | 同じ基準のエチルアルコール、水、甘味料(1Lあたり0.1g以下)。香味料・着色料は不可 | 37.5% |
EU規則が定める3つの区分
EU規則2019/787の付属書Iは、ジンを名乗れる蒸溜酒を「ジン」(区分20)、「蒸溜ジン」(区分21)、「ロンドン・ジン」(区分22)の3つに分けています。共通するのは、ジュニパーベリー(学名Juniperus communis L.)の香りが主体であることと、最低アルコール分37.5%であることです。単にエッセンスや香料をエチルアルコールへ加えただけの製品は「蒸溜ジン」とはみなされません。これとは別に、最低アルコール分30%の「ジュニパー風味の蒸溜酒」(区分19)も定められています。
蒸溜ジンとロンドン・ジンの違い
蒸溜ジンは、初期アルコール分96%以上の農業原料由来のエチルアルコールを、ジュニパーベリーおよびその他の天然植物と共に蒸溜して造ります。この蒸溜液に、組成・純度・アルコール分が同じエチルアルコールを合わせることも認められており、香味料や香味製剤で香りを足すこともできます。
ロンドン・ジンは、この蒸溜ジンに次の条件を上乗せした区分です。香りは、使用する天然植物すべてと共にエチルアルコールを蒸溜する工程だけでつけます。得られる蒸溜液のアルコール分は70%以上が必要で、原料となるエチルアルコールのメタノール含有量は100%換算アルコール1ヘクトリットルあたり5グラム以下に制限されています。蒸溜後に加えてよいのは、同じメタノール基準を満たすエチルアルコール、水、甘味料だけです。甘味料は最終製品1リットルあたり0.1グラム(転化糖換算)以下に限られ、着色はできません。製品の最低アルコール分は、ジンや蒸溜ジンと同じ37.5%です。
「ロンドン」は産地ではなく製法の名称
ロンドン・ジンは付属書Iが定める製品区分のひとつで、地理的表示(GI)ではありません。定義にも産地の条件はなく、ロンドン以外の国や地域で造られた製品もこの名称を名乗れます。
この名称の成り立ちについて、Diffords Guideは19世紀の蒸溜技術の変化から説明しています。イーニアス・カフェ(コフィー)が連続式蒸溜機の特許を取ると(特許の年は1830年とする資料と1831年とする資料があります)、より純度の高いスピリッツを大きな規模で造れるようになりました。同サイトによれば、19世紀半ばまでに蒸溜業者は旧来のジンの粗さを和らげるために使っていた砂糖を減らすか使わなくなり、この新しいスタイルがやがてドライジン、次いでロンドン・ドライ・ジンと呼ばれるようになりました。ジンの歴史では、連続式蒸溜機の普及とロンドン・ドライの成立を創業年データとあわせて時系列で整理しています。
ドライジンとの関係
EU規則は、ロンドン・ジンの法定名称に「ドライ」の語を加える、または含めることを認めています(区分22(c))。「ロンドン・ドライ・ジン」は区分22の要件を満たした製品の名称のひとつで、「ロンドン・ジン」と別の区分を指す言葉ではありません。「ドライ」の語はジンと蒸溜ジンにも使えますが、その場合は添加した甘味料が最終製品1リットルあたり0.1グラム(転化糖換算)以下であることが条件です(区分20(d)・21(d))。そのため「ドライジン」の表示だけでは、ロンドン・ジンの製法で造られたかどうかは分かりません。
買うときに見るところ
ラベルの区分名は、産地ではなく製法を示します。「ロンドン・ジン」「ロンドン・ドライ・ジン」と表示されていれば、香りは蒸溜だけでつけられ、蒸溜後に香味料や着色料は加えられていません。一方「蒸溜ジン」の表示は、蒸溜後に香味料が加えられている場合があることを意味します。アルコール分の数値だけでは区分は分かりません。ジン・蒸溜ジン・ロンドン・ジンのいずれも、規則上の下限である37.5%を共有しているためです。産地は区分名からは分からないため、原産国などの表示で確かめます。なお、この規則が適用されるのはEU市場で販売される製品と、EU域内で造られて輸出される製品です(第1条2項)。それ以外の製品の「ロンドン・ドライ」表示が、この規則の要件を満たしているとは限りません。
ジンとはでは、スタイル図鑑のロンドン・ドライを含む10のスタイルを製品数つきで整理しています。ボタニカルの内訳はジンのボタニカル図鑑、ウォッカとの違いはジンとウォッカの違いで解説しています。
出典
- Regulation (EU) 2019/787(EUR-Lex) https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32019R0787
- Regulation (EU) 2019/787, Article 1(legislation.gov.uk) https://www.legislation.gov.uk/eur/2019/787/article/1/adopted
- Regulation (EU) 2019/787, Annex I(legislation.gov.uk) https://www.legislation.gov.uk/eur/2019/787/annex/I/adopted
- Regulation (EU) 2019/787, Annex I Division 22 London gin(legislation.gov.uk) https://www.legislation.gov.uk/eur/2019/787/annex/I/division/22/adopted?view=plain
- spiritsEUROPE「What is a spirit (Reg. 2019/787)」 https://spirits.eu/issues/internal-market/what-is-a-spirit-reg-2019787
- Diffords Guide「Gin Definitions: EU And US Legal Styles Explained」 https://www.diffordsguide.com/g/1108/gin/legal-definitions
- The GIN is IN「What is London Dry Gin?」 https://theginisin.com/regulations/what-is-london-dry-gin/
- Diffords Guide「History of Gin, From 1831 to 1953」 https://www.diffordsguide.com/g/1108/gin/history-of-gin-1831-1953
- Wikipedia「Gin」(補強) https://en.wikipedia.org/wiki/Gin
- Wikipedia「Aeneas Coffey」(補強) https://en.wikipedia.org/wiki/Aeneas_Coffey
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よくある質問
- ロンドンドライジンはロンドンで造る必要がありますか?
- 必要ありません。EU規則2019/787上、ロンドン・ジン(ロンドン・ドライ・ジン)は地理的表示ではなく製法上の区分名で、定義に産地の条件はありません。使用する天然植物すべてと共に蒸溜する工程だけで香りをつけ、蒸溜後に香味料や着色料を加えないといった要件を満たせば、ロンドン以外の国や地域で造られた製品も名乗れます。
- 「ロンドン・ジン」と「ロンドン・ドライ・ジン」は同じ意味ですか?
- 同じ区分を指します。EU規則は、区分22「ロンドン・ジン」の法定名称に「ドライ」の語を加える、または含めることを認めており、「ロンドン・ドライ・ジン」はその名称のひとつです。別の区分を意味する言葉ではありません。なお「ドライ」の語は、添加した甘味料が1リットルあたり0.1グラム以下であればジンや蒸溜ジンにも使えます。
- 「ジン」「蒸溜ジン」「ロンドン・ジン」はどう違いますか?
- いずれもジュニパーの香りが主体で最低アルコール分37.5%という点は共通ですが、造り方に段階があります。「ジン」はエチルアルコールに香味料・香味製剤で香味づけするだけでよく、「蒸溜ジン」は初期アルコール分96%以上のエチルアルコールを植物と共に蒸溜し、香味料で香りを足すこともできます。「ロンドン・ジン」は香りづけを蒸溜だけで行い、蒸溜後に加えてよいのは同じ基準のエチルアルコール、水、1リットルあたり0.1グラム以下の甘味料に限られます。





