トニックウォーターとは|キニーネと国内品・輸入品の違い

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最終更新 2026-09-30

目次
  1. 早見表
  2. キナとキニーネ
  3. 成り立ち
  4. ラベルの「苦味料」と「香料」
  5. 買うときに見るところ
  6. 出典

トニックウォーターは、南米原産のキナの樹皮に含まれるキニーネの苦味を、糖類や柑橘の香りと一緒に炭酸水へ加えた清涼飲料水です。日本で売られている製品のうち、アサヒ飲料と日本コカ・コーラの製品は公式の原材料名に「キナ抽出物」の記載がなく、輸入品のフィーバーツリーは販売元のアサヒビールが「キナ由来」の苦味と説明しています。

早見表

各社の公式サイトで確認できた原材料表示と説明です(2026年9月時点)。

製品日本での販売元公式に示されている内容
ウィルキンソン トニック(PET500ml)アサヒ飲料原材料名「果糖ぶどう糖液糖(国内製造)/炭酸、酸味料、香料」
カナダドライ トニックウォーター日本コカ・コーラ原材料名「果糖ぶどう糖液糖/炭酸、酸味料、香料」
フィーバーツリー プレミアムトニックウォーター(200ml瓶)アサヒビール(2023年1月から国内販売)「コンゴ民主共和国のキナ由来の優しい苦味」と説明

アサヒ飲料と日本コカ・コーラの2製品は、原材料名に「キナ抽出物」も、一括名の「苦味料」も書かれていません。フィーバーツリーは米国向けの公式ページで、原材料を「Natural Flavors including Natural Quinine」(キニーネを含む天然香料)と表示しています。

キナとキニーネ

キナはアカネ科の樹木で、ペルーなど南米が原産です。キニーネはその樹皮に含まれる成分で、1820年にフランスの研究者ペルティエとカヴェントゥが初めて単離したとされます。名前は、キナの樹皮を指すケチュア語の「quina」に由来するとされています。

日本の食品添加物の制度では、キナ抽出物は既存添加物名簿(平成8年厚生省告示第120号)に載っている品目です。消費者庁はキナ抽出物を「アカキナの樹皮から得られた、キニジン、キニーネ及びシンコニンを主成分とするもの」と定義し、用途を苦味料としています。2025年11月の消費者庁の資料の時点で、規格基準は設定されていません。

成り立ち

英語版Wikipediaによると、19世紀前半のイギリス領インドなどでは、マラリア予防に勧められたキニーネを炭酸水と砂糖で割っていたとされます。最初の商業的なトニックウォーターは、1858年にPitt & Co.のErasmus Bondが特許を取った「Quinine Tonic Water」だという説があります。ジン・トニックは、インドにいたイギリスの役人がキニーネ入りの炭酸水にジンを加えたのが始まりとされ、記録として知られる最も古いものは1868年の『Oriental Sporting Magazine』の記事だといわれます。割り方やグラスについてはジン・トニックのページにまとめています。

フィーバーツリー(2004年にロンドンで設立)という名前もキナに由来します。日本で販売するアサヒビールは、ブランド名を「トニックウォーターに欠かすことのできない苦み成分が取れる『キナの木』の愛称」と説明しています。

ラベルの「苦味料」と「香料」

食品表示基準では、添加物は原則として物質名で表示しますが、一部の用途は一括名でまとめて書けます。消費者庁の通知は一括名「苦味料」の範囲を、既存添加物名簿収載品目リストなどの用途欄に「苦味料等」と書かれている添加物(香辛料抽出物を除く)としています。キナ抽出物の用途欄は「苦味料等」なので、キナ抽出物を使った製品は「キナ抽出物」と書かれる場合と、「苦味料」と書かれる場合があります。同じ一括名には、カフェイン(抽出物)やニガヨモギ抽出物なども含まれます。

キナは天然香料の基原物質のリストにも載っています。キナを原料にした香料は「香料」と表示されるため、原材料名の「香料」だけではキナ由来かどうかは分かりません。

消費者庁は2025年2月14日から3月31日までキナ抽出物の使用実態を調べ、2025年11月18日の食品衛生基準審議会添加物部会で結果を報告しました。キナ抽出物は清涼飲料水(トニックウォーター)とリキュールなどの酒類に使われており、使用量が最も多かったのはトニックウォーターで、キニーネとして65ppmでした。消費者庁は、米国の基準値である83ppmを超える食品の報告はなかったとしています。報告の時点では使用基準がなく、消費者庁は米国の基準値を参考にした案を示しています。

区分内容
日本(2025年11月の案)清涼飲料水、シロップ、果実酒、ウイスキー、スピリッツ、リキュールに限り、キニーネとして1Lあたり0.083gを超えて残らないようにする
米国塩酸塩または硫酸塩のキニーネを、炭酸飲料の香味として83ppm(キニーネとして)まで。ラベルにquinineの表示が必要
ドイツ蒸溜酒全体で300mg/kg、ノンアルコール飲料で85mg/kgまで(消費者庁の資料による)

消費者庁は、案の0.083gは米国の基準値を記載したもので、今後、国際的な評価と国内の専門家の意見を踏まえて検討するとしています。2026年3月と6月に開かれた添加物部会の議題には、キナ抽出物の使用基準は入っていません。

買うときに見るところ

  • 原材料名に「キナ抽出物」とあれば、キナの樹皮の抽出物が使われています。
  • 「苦味料」は一括名です。キナ抽出物の場合もあれば、ほかの苦味の添加物の場合もあり、表示だけでは特定できません。
  • 「香料」の中にキナ由来のものが入っていることもあります。キナを使っているかは、メーカーや販売元の説明で確かめます。
  • 米国の規則は、塩酸塩か硫酸塩のキニーネを炭酸飲料に使う場合、商品名か別の表示で「quinine」を目立つように示すよう求めています。輸入品に残っている元の英語ラベルでは、この語が手がかりになります。
  • 容量は、ウィルキンソン トニックに500mlのペットボトルと190mlのリターナブルびんがあり、フィーバーツリーは日本では200mlのワンウェイ瓶で売られています。

ソーダで割る場合との違いはジンソーダ、トニック以外の割り方はジンのカクテルで扱っています。割るジンを国産の定番から探すなら国産ジンの比較も参考になります。

出典

  • 消費者庁「キナ抽出物の使用実態調査の結果について」(食品衛生基準審議会添加物部会 資料3、2025年11月18日): https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fssc_cms101_251117_11.pdf
  • 消費者庁「既存添加物『キナ抽出物』の使用実態調査について」: https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/food_additives/common_knowledge_002/
  • 消費者庁 食品衛生基準審議会添加物部会 開催一覧: https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/review_meeting_002
  • 消費者庁「食品表示基準について」別添 添加物(一括名の範囲、既存添加物名簿収載品目リスト、天然香料基原物質リスト): https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms204_221026_02.pdf
  • 消費者庁 食品添加物表示制度に関する検討会資料(一括名表示): https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/review_meeting_012_190827_0014.pdf
  • 21 CFR 172.575 Quinine(米国連邦規則): https://www.ecfr.gov/current/title-21/chapter-I/subchapter-B/part-172/subpart-F/section-172.575
  • 21 CFR 172.575(2017年版の本文): https://www.govinfo.gov/content/pkg/CFR-2017-title21-vol3/pdf/CFR-2017-title21-vol3-sec172-575.pdf
  • アサヒ飲料「ウィルキンソン トニック」: https://www.asahiinryo.co.jp/products/carbonated/wilkinson_tonic/
  • アサヒ飲料「ウィルキンソン トニック PET500ml」: https://www.asahiinryo.co.jp/products/carbonated/wilkinson_tonic/2T430.html
  • アサヒ飲料「ウィルキンソン トニック リターナブルびん190ml」: https://www.asahiinryo.co.jp/products/carbonated/wilkinson_tonic/2T032.html
  • 日本コカ・コーラ「カナダドライ」製品情報: https://www.coca-cola.com/jp/ja/brands/canada-dry
  • アサヒビール「イギリス『フィーバーツリー』の日本国内での販売権を取得」(2022年10月18日): https://www.asahibeer.co.jp/news/2022/1018_2.html
  • 同リリース(PR TIMES掲載): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000953.000016166.html
  • アサヒビール「カクテル用ミキサー」: https://www.asahibeer.co.jp/products/mixer/
  • フィーバーツリー日本公式サイト「ラインアップ」: https://www.fevertree.jp/lineup/
  • Fever-Tree「Premium Tonic Water」(米国向け): https://fever-tree.com/en-us/products/premium-tonic-water
  • Wikipedia「Tonic water」: https://en.wikipedia.org/wiki/Tonic_water
  • Wikipedia「Quinine」: https://en.wikipedia.org/wiki/Quinine

読んだあとの一本

どれも国内で手に入る定番です。

家で試すなら

  • 割り材フィーバーツリー トニックジン1にトニック3。4分の3はトニックなので、味の大半はここで決まる。Amazonで探す ↗ 広告
  • グラスバルーングラス胴が丸く膨らんでいるぶん、ジンの香りがグラスの中にたまります。Amazonで探す ↗ 広告
  • 本クラフトジンの本ジュニパーのほかに何を使うか。蒸溜所ごとにずいぶん違います。Amazonで探す ↗ 広告

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よくある質問

日本のトニックウォーターにキニーネは入っていますか?
製品によって違います。アサヒ飲料のウィルキンソン トニックと日本コカ・コーラのカナダドライ トニックウォーターは、公式の原材料名にキナ抽出物の記載がありません。一方、消費者庁が2025年に行った調査では、キナ抽出物を使ったトニックウォーターがあり、使用量が最も多い例でキニーネとして65ppmでした。
原材料名の「苦味料」はキナのことですか?
キナとは限りません。「苦味料」は食品表示基準の一括名で、キナ抽出物のほか、カフェイン(抽出物)やニガヨモギ抽出物など、用途が「苦味料等」の添加物をまとめて表示するときに使われます。キナを原料にした香料は「香料」と表示されることもあります。
トニックウォーターのキニーネの量に上限はありますか?
米国は連邦規則(21 CFR 172.575)で、塩酸塩か硫酸塩のキニーネを炭酸飲料に使う場合は83ppm(キニーネとして)までとし、ラベルへの表示を求めています。日本は2025年11月の時点で使用基準がなく、消費者庁が1Lあたり0.083gを上限とする案を示して検討しています。

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