ジンの代表的なカクテル
このページでは、ジンをベースにした代表的なカクテルについて、何と何を組み合わせるのかという構成と、その成り立ちだけを記載します。当サイトは掲載銘柄を実飲していないため、味の評価・おすすめ・順位付けは行いません。分量はいずれも広く使われている標準的な比率で、店や作り手によって幅があります。
ジントニック
ジンをトニックウォーターで割り、氷とライムまたはレモンを加えたものです。ジン1に対してトニック3前後で作られることが多く、ステアもシェイクもせず、グラスの中で直接組み立てる「ビルド」が一般的です。
トニックウォーターの苦味は、キナ(シンコナ)の樹皮に含まれるキニーネに由来します。キニーネはもともと薬用成分として用いられ、これを炭酸水と糖で飲みやすくしたものがトニックウォーターの原型です。現在のトニックウォーターでは、キニーネは香味づけの範囲で用いられています。
ジンの側は、ジュニパーの骨格がはっきりしたロンドン・ドライ・ジンが土台として使われるほか、柑橘やハーブを前面に出したコンテンポラリー・ジンも広く使われます。当サイトの収録数はそれぞれ247製品・812製品です。
マティーニ
ジンとドライベルモットの2材だけで構成します。氷とともにステアし、濾してカクテルグラスに注ぎ、オリーブまたはレモンピールを添えます。
ジンとドライベルモットの比率には幅があり、ベルモットを減らすほど「ドライ」と呼ばれます。シェイクせずステアするのは、氷の削れと空気の混入を抑えるためです。オリーブの漬け汁を加えたものはダーティ、レモンピールの代わりに玉ねぎのピクルスを添えたものはギブソンと呼び分けます。
ジンとベルモット以外に香味を足さない構成のため、使用するジンのボタニカル構成がそのまま出ます。
ネグローニ
ジン/カンパリ/スイートベルモットを1:1:1で合わせ、氷を入れたグラスでビルドし、オレンジピールを添えます。カンパリは苦味を主体としたイタリアのリキュールで、甘味を持つスイートベルモットと、ジュニパーの効いたジンが三方から釣り合う構成です。
ジンをウイスキーに替えるとブールヴァルディエ、スパークリングワインに替えるとネグローニ・スバリアートと、同じ骨格のまま別の名前になります。
ギムレット
ジンとライムで構成します。古典的にはライムジュースを糖で保存性を高めた「ライムコーディアル」を用います。比率には幅があり、ジンを多めにするものから、両者をほぼ同量にするものまであります。
現在は生のライムジュースとシュガーシロップで組む作り方も一般的で、コーディアルを使うか生果汁を使うかで、同じ名前でもかなり印象が変わります。材料が2つしかない点はマティーニと共通で、ジン側の性格が出やすい構成です。
トム・コリンズ
ジン/レモンジュース/シュガーシロップ/ソーダで構成し、氷を入れた背の高いグラスに注ぎます。ジン45ml、レモン30ml、シロップ15ml、残りをソーダで満たす比率が標準的です。よく似たジン・フィズとは提供形態が異なり、コリンズは氷を入れたまま供します。
名前の「トム」は、わずかな甘みを持つオールド・トム・ジンを用いた構成に由来する、という説明が一般に行われています。オールド・トムはロンドン・ドライとジュネヴァの中間に位置する古典スタイルで、一度ほぼ姿を消した後、クラシックカクテルの復権とともに復活しました。オールド・トムを使う場合、ジン自体が持つ甘みと加えるシロップが重なる点が、ドライジンで作る場合との違いになります。
当サイトはオールド・トムを42製品・39蒸溜所分収録しています。ランサムスピリッツ、シティオブロンドン、ポートベロロードなどが該当します。
度数の高いジンを使う場合
カクテルは氷の融解や割り材で必ず薄まります。アルコール度数の高いジンを使うと、薄まった後もボタニカルの香味が残りやすくなります。この用途で使われるのがネイビー・ストレングス・ジンです。
当サイトはネイビー・ストレングスを47製品・45蒸溜所分収録しています。このうちアルコール度数がデータに記録されている40製品を見ると、17製品がちょうど57.0%で、57.0〜57.3%の範囲に26製品が収まります。プリマスやシップスミスなどが含まれます。
「57%」という基準については、英国海軍が火薬にこぼれても発火する強さを目安にしたという逸話が知られていますが、これは逸話として伝わるものです。度数そのものについてはジンのアルコール度数で扱います。
ジュネヴァを使う古典カクテル
ジュネヴァ(ジェネバ)は、オランダ・ベルギーで生まれたジンの祖先にあたる蒸溜酒です。大麦やライ麦などの麦芽に由来するモルトワインをベースとするため穀物のコクを持ち、現代のドライジンとは性格が異なります。EUの地理的表示で保護されています。
ドライジンを前提としたレシピをそのままジュネヴァで作ると、穀物由来の厚みが加わって別の飲み物になります。逆に19世紀以前の古典的なレシピは、そもそもジュネヴァやオールド・トムのような、甘みとコクを持つ酒を前提に組まれていました。
当サイトの収録は7製品・6蒸溜所です。うちオランダの作り手はボルス、ブームスマ、バイザダッチ、フーフハウトの4蒸溜所で、残る2蒸溜所はアメリカです。産地ページはオランダに13蒸溜所、ベルギーに8蒸溜所を収録しています。スタイルの成り立ちはジンの歴史で扱います。
カクテルに使われるジンを探す
当サイトは世界81カ国・638蒸溜所の1,439製品を収録しています。スタイルから絞り込む場合はジンのスタイル図鑑、作り手から探す場合は蒸溜所一覧、産地から探す場合は産地一覧をご覧ください。個々の銘柄ページは、各スタイルページと各蒸溜所ページから辿れます。
よくある質問
- ジントニックにはどのスタイルのジンが使われますか。
- ジュニパーの骨格がはっきりしたロンドン・ドライ・ジンが土台として広く使われます。当サイトはロンドン・ドライを247製品収録しています。柑橘やハーブを前面に出したコンテンポラリー・ジン(812製品)も多く使われ、どちらを選ぶかで香味の方向が変わります。
- トム・コリンズの「トム」とは何を指しますか。
- わずかな甘みを持つオールド・トム・ジンを用いた構成に由来する、という説明が一般に行われています。オールド・トムはロンドン・ドライとジュネヴァの中間に位置する古典スタイルで、一度ほぼ姿を消した後にクラシックカクテルの復権とともに復活しました。当サイトは42製品・39蒸溜所分を収録しています。
- ネイビー・ストレングス・ジンはなぜカクテルに使われるのですか。
- カクテルは氷の融解や割り材で必ず薄まるため、度数の高いジンを使うと薄まった後もボタニカルの香味が残りやすくなります。当サイト収録の47製品のうち、度数がデータに記録されている30製品を見ると、12製品がちょうど57.0%、57.0〜57.3%の範囲に20製品が収まります。
- マティーニをシェイクせずステアするのはなぜですか。
- 氷が削れて過度に加水されることと、空気が混入することを抑えるためです。マティーニはジンとドライベルモットの2材だけで構成され、ほかに香味を足さないため、使用するジンのボタニカル構成がそのまま出ます。