ジュネヴァとは|モルトワインを使うオランダ・ベルギーの伝統酒
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最終更新 2026-09-29
ジュネヴァ(ジェネヴァ、ジェネバとも表記)は、オランダとベルギーで伝統的に造られてきた、ジュニパーベリー(西洋ネズの実)で香りづけした蒸溜酒です。現代のジンはイギリスに伝わったジュネヴァから派生したとされ、ジュネヴァという名称はEUの地理的表示として、ベルギー・オランダとフランス・ドイツの一部地域で造られたものに限って使えます。
早見表
ジュネヴァの代表的な区分に「ジョンゲ(jonge、若い)」と「アウデ(oude、古い)」があります。文字どおりに読むと熟成年数の違いに見えますが、実際はモルトワインの割合と糖分の量による区分です。
| 区分 | モルトワインの割合 | 糖分の上限(1Lあたり) |
|---|---|---|
| ジョンゲ(jonge) | 15%以下 | 10g |
| アウデ(oude) | 15%以上 | 20g |
| korenwijn | 51%以上 | 20g |
「若い」「古い」は配合上の呼び名で、ボトルの中身が何年寝かされたかを示す表示ではありません。
EUの地理的表示
EUの蒸溜酒規則(Regulation (EU) 2019/787)は、旧規則(Regulation (EC) No 110/2008)の附属書IIIに登録されていた地理的表示を、そのまま新規則の地理的表示として保護しています(第37条)。附属書IIIには「Genièvre / Jenever / Genever」が登録されており、原産地はベルギー、オランダ、フランスのノール県・パ=ド=カレー県、ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州・ニーダーザクセン州です。「Jonge jenever」「Oude jenever」も、ベルギーとオランダを原産地とする別の地理的表示として登録されています。一方でジンは、EUの規則上、産地を限らない蒸溜酒のカテゴリーの名前です。
モルトワインという基酒
ジュネヴァの区分を決めるモルトワイン(moutwijn)は、大麦・ライ麦・トウモロコシを原料にした穀物の蒸溜液です。ポットスチルで3回蒸溜し、1回目でアルコール分およそ20%の粗留液、2回目でおよそ30%の中間留分を得て、3回目でアルコール分46.5%のモルトワインに仕上げます。ジュネヴァは、このモルトワインを主にジュニパーベリーからなる植物の配合で香りづけしてつくります。ジョンゲは、農産物由来のエタノールを主体に、モルトワインを15%以下の範囲で加えたものです。EUの規則はジンを、農業由来のエチルアルコールをジュニパーベリーで香りづけした蒸溜酒と定義しており、モルトワインの割合を区分の基準にするジュネヴァとは組み立て方が異なります。
ジョンゲとアウデ、年数ではなく配合の違い
ジョンゲとアウデの違いは、モルトワインの割合と糖分の量という2つの数値で決まります。モルトワインが15%以下で糖分が1Lあたり10g以下ならジョンゲ、モルトワインが15%以上で糖分が1Lあたり20g以下ならアウデです。熟成期間の長さで決まる区分ではない点が、ウイスキーの年数表記とは異なります。なお、オーク樽で熟成させたジュネヴァを造る蒸溜所もあり、モルトワインを51%以上含むkorenwijnは、オーク樽で数年熟成させることが多いとされます。
ジンとの関係
ジュネヴァは、ジンの歴史をたどるときの出発点にあたります(参考:ジンの歴史)。英語の「gin」は、古い英語の「genever」を縮めた形です。英語の「geneva」はジュネヴァが英語化した名前で、低地諸国での戦いから戻ったイングランドの兵士が、1587年と1600年代初めに持ち帰ったとされます。イングランドでジンが広まったのは1688年の名誉革命の後です。1826年と1831年に連続式蒸溜機が考案されて中性スピリッツの蒸溜が実用的になり、19世紀後半にロンドン・ドライ・ジンのスタイルが生まれました。
買うときに見るところ
ボトルのラベルには、次の情報が手がかりになります。
- 「Jonge」「Oude」の表記は、モルトワインの割合と糖分の量による区分を示します。熟成年数の表示ではありません。
- 「Korenwijn」の表記は、モルトワインを51%以上含む区分です。
- 原産地の表記(オランダやベルギーなど)は、EUの地理的表示の対象地域かどうかを確認する手がかりになります。
- アルコール分は製品ごとに異なるため、ラベルの数値で確認します。
スタイルの詳細はジュネヴァのページでも確認できます。
出典
- Regulation (EU) 2019/787(EU蒸溜酒規則): https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32019R0787
- Regulation (EU) 2019/787 第37条(既存の地理的表示): https://www.legislation.gov.uk/eur/2019/787/article/37/adopted
- Regulation (EU) 2019/787 附属書I(ジンの定義): https://www.legislation.gov.uk/eur/2019/787/annex/I/adopted
- Regulation (EC) No 110/2008 附属書III(地理的表示一覧): https://www.legislation.gov.uk/eur/2008/110/annex/III/adopted
- Wikipedia「Jenever」: https://en.wikipedia.org/wiki/Jenever
- Wikipedia「Gin」: https://en.wikipedia.org/wiki/Gin
- Wikipedia(オランダ語版)「Moutwijn」: https://nl.wikipedia.org/wiki/Moutwijn
- Wikipedia(オランダ語版)「Jenever」: https://nl.wikipedia.org/wiki/Jenever
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よくある質問
- ジュネヴァとジンは同じお酒ですか?
- 同じではありません。現代のジンはイギリスに伝わったジュネヴァから派生したとされますが、ジュネヴァはモルトワインの割合で区分され、名称の使用もEUの地理的表示でベルギー・オランダなどに限られます。ジンはEUの規則上、産地を限らない蒸溜酒のカテゴリーの名前です。
- ジョンゲとアウデの違いは熟成年数ですか?
- いいえ、熟成年数ではありません。ジョンゲはモルトワイン15%以下・糖分1Lあたり10g以下、アウデはモルトワイン15%以上・糖分1Lあたり20g以下という、配合上の区分です。
- ジュネヴァはどこの国のお酒ですか?
- 主にオランダとベルギーの酒です。EUの地理的表示「Genièvre / Jenever / Genever」の原産地は、ベルギー、オランダ、フランスのノール県・パ=ド=カレー県、ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州・ニーダーザクセン州とされています。





