ウイスキー蒸溜所が造るジン|ボタニスト、カフェジンなど

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最終更新 2026-09-30

目次
  1. 早見表
  2. スコットランドの3蒸溜所
  3. グレーンウイスキーの蒸溜所で造るジン
  4. 日本の4例
  5. 設備の使い分け
  6. 買うときに見るところ
  7. 出典

スコットランドではブルックラディ蒸溜所のザ・ボタニスト、バルメナック蒸溜所のカルーン、アイル オブ ハリス蒸溜所のアイル オブ ハリス ジン、日本ではニッカのカフェジン、マルス津貫蒸溜所の和美人、桜尾蒸溜所のSAKURAO GINが、ウイスキーを造る蒸溜所や会社のジンです。設備の分け方は蒸溜所ごとに違い、ジン用の蒸溜器を別に置く例(ブルックラディ、ハリス、桜尾)と、グレーンウイスキーにも使う連続式蒸溜機でジンのベースを造る例(ニッカ)があります。

早見表

各社の公式サイトと、日本の輸入元・製造元の説明にある事実だけを載せています。

蒸溜所・会社所在地ウイスキージンジンの設備と造り方
ブルックラディ蒸溜所アイラ島ブルックラディ、ポートシャーロット、オクトモアザ・ボタニスト(2011年発売、46%)1959年製のローモンドスチルをジン用に改造
バルメナック蒸溜所スペイサイドモルトウイスキー(1824年創業)カルーン(2009年から)コッパーベリーチャンバー
アイル オブ ハリス蒸溜所ハリス島ザ・ヒーラックアイル オブ ハリス ジン(45%・700ml)、タイダルストレングス小型の銅製ジン用蒸溜器
ガーヴァン蒸溜所(ウィリアム・グラント&サンズ)スコットランドグレーンウイスキー(1963年開業)ヘンドリックス(1999年発売)2018年開設のヘンドリックス ジン パレス
キャメロンブリッジ蒸溜所(ディアジオ)ファイフシングルグレーンウイスキータンカレー、ゴードン同じ蒸溜所でスミノフも造る
ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所(カフェスチル)カフェグレーン、カフェモルトニッカ カフェジン(2017年、47%・700ml)カフェスチルで蒸溜したカフェ蒸溜液がベース
マルス津貫蒸溜所(本坊酒造)鹿児島県南さつま市シングルモルト津貫Japanese GIN 和美人(47%・700ml、300ml)原材料は醸造アルコール
小正醸造・小正嘉之助蒸溜所鹿児島県日置市嘉之助蒸溜所(2017年創設)KOMASA GIN(2018年発売)米焼酎がベース
桜尾蒸溜所広島県桜尾、戸河内(43%・700ml)SAKURAO GIN ORIGINAL(47%・700ml)ジン用、モルト用、グレーン用で別々の蒸溜器

スコットランドの3蒸溜所

ブルックラディ蒸溜所は1881年に建てられたウイスキー蒸溜所で、1994年に操業を止め、2001年に再開しました。ザ・ボタニストの公式サイトによると、ジンにはダンバートン蒸溜所から来た1959年製のローモンドスチルを改造して使い、最初のジンは2010年に流れ出ました。中性のグレーンスピリッツを57%に薄めて9種のボタニカルを12時間浸漬し、10時間かけて蒸溜します。蒸気はアイラ島の22種のボタニカルを入れた抽出室を通り、約80%で出た液を46%まで加水します。浸漬と蒸気抽出の違いはジンの造り方で説明しています。

バルメナック蒸溜所は1824年創業のスペイサイドのモルトウイスキー蒸溜所で、カルーンは2009年からここで造られています。ボタニカルは、蒸溜所から歩いて10分以内で手摘みするナナカマドの実などケルトの5種と、伝統的な6種の計11種です。公式サイトは、香りの抽出に使うコッパーベリーチャンバーを、1920年代に米国で香水の精油を採るために造られた設備と説明しています。

アイル オブ ハリス蒸溜所は、2015年9月にハリス島で初めての蒸溜所として設立されました。ジンはシュガーケルプ(昆布の一種)を含む9種のボタニカルを使い、公式サイトによるとThe Dotachという小型の銅製ジン用蒸溜器で造ります。この蒸溜器は、ウイスキー用の大きな蒸溜器と同じスピリットホールに置かれています。スコッチウイスキーはスコットランドのオーク樽で3年以上熟成させることが法令の条件で、蒸溜所はザ・ヒーラックをハリス島で初めてのシングルモルトと説明しています。英国のほかの蒸溜所はイギリスの産地ページから探せます。

グレーンウイスキーの蒸溜所で造るジン

ウィリアム・グラント&サンズは年表で、1963年にガーヴァン蒸溜所を9か月で建て、当時世界最大のグレーン蒸溜所として開いたと書いています。同社は1999年にヘンドリックスを発売し、2018年にヘンドリックス ジン パレスを開きました。同社はジン パレスをガーヴァン蒸溜所の中にあると説明し、ヘンドリックスはベネットとカーターヘッドという2種類の蒸溜器で造っています。

ディアジオは2022年の記事で、ファイフのキャメロンブリッジ蒸溜所がジョニーウォーカーなどにシングルグレーンウイスキーを供給し、スミノフ、ゴードン、タンカレーも造っていると説明しています。タンカレーとゴードンの違いはビーフィーターとタンカレーの違いで比べています。

日本の4例

ニッカ カフェジンは2017年6月27日に発売されました。アサヒビールの発表によると、大麦麦芽やとうもろこしなどをカフェスチルで蒸溜した「カフェ蒸溜液」に、山椒、ゆず・かぼすなどの和柑橘、ジュニパーベリーなどを浸漬してから再蒸溜します。カフェスチルは1963年に西宮工場に導入され、1999年に宮城峡蒸溜所へ移されました。宮城峡蒸溜所の紹介ページは、このカフェスチルからカフェグレーン、カフェモルト、カフェジン、カフェウオッカが生まれていると説明しています。

本坊酒造は2016年、鹿児島県南さつま市の津貫工場にウイスキー蒸溜所「マルス津貫蒸溜所」を新設しました。「Japanese GIN 和美人」の製品情報は、製造所をマルス津貫蒸溜所、原材料を醸造アルコール(国内製造)とし、ボタニカルは津貫で採れた金柑など鹿児島の9種とジュニパーベリー、コリアンダーシードの計11種です。

小正醸造は1883年から焼酎を造る蔵で、2018年に米焼酎をベースにしたKOMASA GINを発売しました。桜島小みかんは45%・500mlです。ウイスキーは、2017年11月に小正醸造のウイスキー製造所として創設された嘉之助蒸溜所が造り、2021年8月に小正嘉之助蒸溜所株式会社として分社化しました。

桜尾蒸溜所は2017年12月に完成し、2019年にグレーンウイスキーの蒸溜設備を加えました。見学の案内は、スティーピングとヴェイパー製法のジンの蒸溜器、モルトウイスキーの蒸溜器、特注のグレーンウイスキーの蒸溜器を別々に紹介しています。ほかの国産ジンは日本の産地ページで探せます。

設備の使い分け

公式の説明を並べると、ジン用の設備を別に置く例がブルックラディ、バルメナック、アイル オブ ハリス、桜尾、ウイスキーと同じ蒸溜機でジンのベースを造る例がニッカ、グレーンウイスキーの蒸溜所の敷地でジンも造る例がガーヴァンとキャメロンブリッジです。

ベースのスピリッツも同じではなく、ザ・ボタニストは中性のグレーンスピリッツ、和美人は醸造アルコール、KOMASA GINは米焼酎、カフェジンはカフェ蒸溜液です。ウイスキーの蒸溜所のジンでも、ベースが自社のウイスキーと同じ蒸溜機から来ているとは限りません。「クラフト」という言葉の扱いはクラフトジンとはにまとめています。

買うときに見るところ

  • 国税庁の説明事項では、酒類の容器に品目と、製造者の名称、製造場の所在地などを表示します。和美人の製品情報は、品目を「スピリッツ」、原材料を「醸造アルコール(国内製造)」、製造所を「マルス津貫蒸溜所」としています。
  • ザ・ボタニストには通常品とは別にIslay Cask Rested Ginがあり、公式サイトはソーテルヌやポムロールなどの樽で最低6か月休ませた46%のジンと説明しています。
  • 和美人には、ウイスキーの熟成に使った樽で後熟させた「ウイスキーカスク フィニッシュ 2021」(58%・495ml)がありましたが、生産終了です。
  • 輸入品の日本語の表示には輸入者名があります。ザ・ボタニストはレミー コアントロー ジャパンが2020年の発表で扱いを示しており、ヘンドリックスは2025年1月1日からブラウンフォーマンジャパンが日本総代理店です。カルーンはウィスク・イーが商品ページを設けていますが、2026年9月の時点では「Coming soon」の表示です。ブルックラディ、カルーンなどの読みはジン銘柄の読み方に載せています。

出典

  • The Botanist「About Us - Islay」: https://www.thebotanist.com/en-us/pages/islay
  • The Botanist 公式サイト: https://www.thebotanist.com/
  • The Botanist「Islay Cask Rested Gin」: https://www.thebotanist.com/en-us/products/the-botanist-cask-rested-gin
  • Bruichladdich「FAQs」: https://www.bruichladdich.com/pages/faqs
  • レミー コアントロー ジャパン「ブルックラディ蒸留所、ウイスキー・ジンの蒸留所としてヨーロッパ初のB Corp認証を取得」(2020年5月26日、PR TIMES): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000162.000016452.html
  • Caorunn「About Us」: https://www.caorunngin.com/about-us
  • Caorunn「Our Unique Process」: https://www.caorunngin.com/about-us/our-unique-process
  • Caorunn「Gin Botanicals」: https://www.caorunngin.com/about-us/gin-botanicals
  • International Beverage「Balmenach Distillery」: https://www.interbevgroup.com/our-group/where-we-operate/45-balmenach-distillery
  • ウィスク・イー「カルーン ジン」: https://whisk-e.co.jp/product_types/caorunn-gin/
  • アイル・オブ・ハリス蒸溜所 日本語サイト「ABOUT」: https://harrisdistillery.jp/about/
  • Isle of Harris Distillery「Isle of Harris Gin」: https://www.harrisdistillery.com/pages/isle-of-harris-gin
  • Isle of Harris Distillery「Buy Isle of Harris Gin」: https://www.harrisdistillery.com/products/buy-isle-of-harris-gin
  • Isle of Harris Distillery「The Hearach」: https://www.harrisdistillery.com/pages/the-hearach
  • The Scotch Whisky Regulations 2009 第3条: https://www.legislation.gov.uk/uksi/2009/2890/regulation/3
  • William Grant & Sons「We」(年表): https://www.williamgrant.com/We
  • William Grant & Sons「Hendrick's Gin」: https://www.williamgrant.com/gb/brands/hendricks-gin/
  • William Grant & Sons「Lesley Gracie」: https://www.williamgrant.com/gb/malt-masters/lesley-gracie/
  • ブラウンフォーマンジャパン「ウィリアム・グラント&サンズの日本総代理店として独占販売開始」(2025年1月6日、PR TIMES): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000137946.html
  • Diageo(キャメロンブリッジ蒸溜所、2022年5月31日): https://www.diageo.com/en/news-and-media/stories/2022/diageo-s-largest-distillery-has-received-world-first-recognition-for-water-stewardship
  • アサヒビール「ニッカ カフェジン」「ニッカ カフェウオッカ」発売のリリース(2017年5月11日): https://www.asahibeer.co.jp/news/2017/0511.html
  • ニッカウヰスキー「ニッカ カフェジン・ニッカ カフェウオッカ」: https://www.nikka.com/products/spirits/coffey/
  • ニッカウヰスキー「宮城峡蒸溜所」: https://www.nikka.com/distilleries/miyagikyo/
  • 本坊酒造「Japanese GIN 和美人」: https://www.hombo.co.jp/product/wabijin/
  • 本坊酒造「Japanese GIN 和美人 ウイスキーカスク フィニッシュ」: https://www.hombo.co.jp/product/wabijin-whiskycask-finish/
  • 本坊酒造「マルス津貫蒸溜所」: https://www.hombo.co.jp/visiting/tsunuki/
  • 本坊酒造「沿革」: https://www.hombo.co.jp/company/history/
  • KOMASA GIN「DISCOVER」: https://komasagin.com/discover
  • KOMASA GIN「桜島小みかん」: https://komasagin.com/komikan
  • 小正嘉之助蒸溜所「会社情報」: https://kanosuke.com/pages/company
  • サクラオブルワリーアンドディスティラリー「会社概要・沿革」: https://www.sakuraobd.co.jp/company/profile/
  • 同「蒸留所見学」: https://www.sakuraobd.co.jp/distillery/
  • 同 商品規格一覧(2024年7月版、PDF): https://www.sakuraobd.co.jp/wp-content/themes/cocoon-child-sakuraobd/assets/files/material202407_ja.pdf
  • 国税庁「酒類の表示に関する説明事項(各品目共通)」: https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/11/pdf/012.pdf

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よくある質問

ザ・ボタニストはどこの蒸溜所で造っていますか?
スコットランド・アイラ島のブルックラディ蒸溜所(ブルイックラディとも表記)です。1881年に建てられたウイスキー蒸溜所で、2011年にザ・ボタニストを発売しました。ダンバートン蒸溜所から来た1959年製のローモンドスチルをジン用に改造して使い、アイラ島の22種のボタニカルを蒸気が通る抽出室に入れて蒸溜します。度数は46%です。
ニッカ カフェジンはウイスキーと同じ蒸溜機で造っていますか?
ベースの「カフェ蒸溜液」は、ニッカがカフェグレーンやカフェモルトにも使う連続式蒸溜機カフェスチルで、大麦麦芽やとうもろこしなどを蒸溜したものです。そこに山椒や和柑橘、ジュニパーベリーなどを浸漬して再蒸溜します。カフェスチルは1963年に西宮工場に導入され、1999年に宮城峡蒸溜所へ移されました。
日本でウイスキーとジンの両方を造っている蒸溜所はどこですか?
公式の説明で確かめられる例に、Japanese GIN 和美人の製造所であるマルス津貫蒸溜所(本坊酒造、2016年にウイスキー蒸溜所として新設)と、ジン用、モルトウイスキー用、グレーンウイスキー用の蒸溜器を別々に持つ桜尾蒸溜所があります。会社単位では、カフェジンを造るニッカウヰスキーと、KOMASA GINを造る小正醸造と嘉之助蒸溜所でウイスキーを造る小正嘉之助蒸溜所(2021年に小正醸造から分社化)があります。

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