ジンとウォッカの違い|ジュニパーの有無とEU規則の造り方

本ページにはプロモーション(アフィリエイト広告)が含まれます。

最終更新 2026-09-29

目次
  1. 早見表
  2. ジンの定義:ジュニパーで香りづけした蒸溜酒
  3. ウォッカの定義:原料の香味を抑える蒸溜酒
  4. 造り方の違い
  5. 度数は同じ、区別は表示名で
  6. 買うときに見るところ
  7. 出典

ジンとウォッカの違いは、ジュニパーベリーで香りづけするかどうかです。EU規則2019/787は両者とも最低アルコール分37.5%と定めており、度数ではなく香りづけの有無と造り方の目的が区分の分かれ目になります。

早見表

項目ジンウォッカ
主な原料農業原料由来のエチルアルコールジャガイモ・穀物、または他の農業原料を酵母で発酵させたエチルアルコール
造り方の目的ジュニパーの香りをつける原料由来の香味と発酵副生成物を選択的に減らす
加えてよい香味料香味料・香味製剤(ジュニパーの香りが主体であること。ロンドン・ジンは不可)発酵原料の蒸溜液に含まれる天然の香味物質・香味製剤のみ
甘味料「ドライ」と表示する場合は1Lあたり0.1g以下1Lあたり8g以下
EU規則の最低アルコール分37.5%37.5%
区分名の例ジン/蒸溜ジン/ロンドン・ジンウォッカ/フレーバード・ウォッカ

ジンの定義:ジュニパーで香りづけした蒸溜酒

EU規則2019/787の付属書Iは、ジンを「農業原料由来のエチルアルコールにジュニパーベリー(学名Juniperus communis L.)で香味づけした蒸溜酒」と定義し、ジュニパーの香りが主体であることを要件としています。最低アルコール分は37.5%です。造り方によって「ジン」「蒸溜ジン」「ロンドン・ジン」の3区分に分かれ、区分ごとに蒸溜の要否や蒸溜後に加えてよいものが異なります。区分の詳細はジンとはとロンドンドライジンとはで整理しています。

ウォッカの定義:原料の香味を抑える蒸溜酒

同じ付属書Iで、ウォッカは「ジャガイモもしくは穀物、またはその他の農業原料を酵母で発酵させて得たエチルアルコールを、原料および発酵によって生じる副生成物の香味特性が選択的に減じられるよう蒸溜または精留したもの」と定義されています。その後さらに蒸溜したり、活性炭などの加工助剤で処理したりして、特有の香味特性を持たせることも認められています。加えてよい香味料は発酵原料の蒸溜液に含まれる天然の香味物質・香味製剤に限られ、着色はできず、甘味料は1リットルあたり8グラム(転化糖換算)以下です。最低アルコール分はジンと同じ37.5%です。ジャガイモ・穀物だけで造られていない場合は、「〜から造られた(produced from …)」として使用した原料を、法定名称と同じ視野に目立つように表示する必要があります。Diffords Guideは、この表示の対象になる原料の例としてぶどうを挙げています。

造り方の違い

どちらも出発点は農業原料由来のエチルアルコールですが、そこから先の工程の目的が逆方向です。ジンは、ベースのアルコールに香味料・香味製剤でジュニパーの香味をつける(ジン)か、ジュニパーほかの植物と共に蒸溜して香りを移します(蒸溜ジン・ロンドン・ジン)。英語版Wikipediaは、植物を蒸溜器に入れて蒸溜する方法のほか、蒸溜器の上部に置いたかごに植物を入れ、蒸気に香りを移す方法を紹介しています。ウォッカは、発酵で生じた原料由来の香味や副生成物を蒸溜・精留の段階で減らし、活性炭処理などでさらに整えることを目的とします。付与するか、抑えるかという工程の方向性の違いが、両者を分けています。

度数は同じ、区別は表示名で

EU規則の下では、ジンとウォッカはいずれも最低アルコール分37.5%という同じ数値を共有しています。度数の数値だけを見ても、ジンかウォッカかは判別できません。区別の手がかりになるのは、ラベルに表示される法定名称(「ジン」「蒸溜ジン」「ロンドン・ジン」か、「ウォッカ」「フレーバード・ウォッカ」か)です。

買うときに見るところ

英国の取引基準ガイドBusiness Companionは、蒸溜酒にはすべて法定名称の表示が必要で、ブランド名で置き換えることはできないと説明しています。一方で原材料の一覧表示は義務ではないため、ジュニパーの記載が原材料欄にあるとは限りません。ウォッカに原料以外の香味を主体としてつけた製品は「フレーバード・ウォッカ」の区分になり、法定名称を主な香味の名前と「ウォッカ」の組み合わせにすることもできます。ジャガイモ・穀物以外の原料を使ったウォッカなら、法定名称と同じ視野に原料名の表示があります。なお、EU規則が適用されるのはEU市場で販売される製品と、EU域内で造られて輸出される製品です(第1条2項)。

ジンの成り立ちはジンの歴史、香りづけに使われる植物はジンのボタニカル図鑑で整理しています。

出典

  • Regulation (EU) 2019/787(EUR-Lex) https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32019R0787
  • Regulation (EU) 2019/787, Article 1(legislation.gov.uk) https://www.legislation.gov.uk/eur/2019/787/article/1/adopted
  • Regulation (EU) 2019/787, Annex I(legislation.gov.uk) https://www.legislation.gov.uk/eur/2019/787/annex/I/adopted
  • spiritsEUROPE「What is a spirit (Reg. 2019/787)」 https://spirits.eu/issues/internal-market/what-is-a-spirit-reg-2019787
  • Diffords Guide「Gin Definitions: EU And US Legal Styles Explained」 https://www.diffordsguide.com/g/1108/gin/legal-definitions
  • Diffords Guide「Vodka Definition: Ingredients, ABV Rules, Labeling」 https://www.diffordsguide.com/g/1171/vodka/definition
  • Business Companion「Labelling and composition of spirit drinks」 https://www.businesscompanion.info/en/quick-guides/food-and-drink/labelling-and-composition-of-spirit-drinks-s
  • Wikipedia「Gin」(補強) https://en.wikipedia.org/wiki/Gin
  • Wikipedia「Vodka」(補強) https://en.wikipedia.org/wiki/Vodka

読んだあとの一本

どれも国内で手に入る定番です。

家で試すなら

  • 割り材フィーバーツリー トニックジン1にトニック3。4分の3はトニックなので、味の大半はここで決まる。Amazonで探す ↗ 広告
  • カクテル材料ジュニパーベリー実をひと粒つぶして嗅いでみてください。ジンの芯の香りはこれです。Amazonで探す ↗ 広告
  • 道具加水用スポイト度数の高いものは、スポイトで水を2、3滴。それだけで香りが変わる。Amazonで探す ↗ 広告

※ Amazonの検索結果へのアフィリエイトリンクです。価格と在庫はリンク先でご確認ください。

よくある質問

ジンとウォッカは原料が違いますか?
EU規則上、どちらも農業原料由来のエチルアルコールを起点にできる点は共通です。ジンはこのエチルアルコールにジュニパーベリーで香味づけしたもの、ウォッカはジャガイモ・穀物または他の農業原料を発酵させたエチルアルコールを、原料由来の香味が選択的に減じられるよう蒸溜・精留したものと定義されており、原料の種類そのものより造り方の目的が違います。
ジュニパーの香りがしないとジンと呼べませんか?
EU規則上は呼べません。EU規則2019/787は、ジンをジュニパーベリーで香味づけし、ジュニパーの香りが主体となる蒸溜酒と定義しており、ジュニパーの香味づけは必須要件です。ジュニパーの香りが主体でない製品は、ジンの区分に当てはまりません。
ウォッカは蒸溜回数でジンと区別されますか?
蒸溜回数そのものが区別の基準ではありません。ウォッカの定義は、原料や発酵副生成物の香味特性が選択的に減じられるよう蒸溜・精留することを求めるもので、目的は香味を抑えることです。一方ジンの定義は、ジュニパーの香りを主体として与えることを求めており、回数ではなく蒸溜の目的が異なります。

ほかのガイド

ガイドをすべて見る →