ネイビーストレングスとは|57%の由来とプルーフ
本ページにはプロモーション(アフィリエイト広告)が含まれます。
最終更新 2026-10-22
ネイビーストレングスは、アルコール分57%前後で瓶詰めされたジンを指す呼び名です。英国の旧制度の100プルーフ(約57.1%)に由来しますが、EUの規則にも日本の酒税法にもこの名前の区分はなく、何%以上なら名乗れるという決まりもありません。
早見表
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 英国式の100プルーフ | 51°Fで、同じ体積の蒸溜水の12/13の重さになる強さ。アルコール分では約57.1% | 英国の1979年アルコール酒類税法第2条(制定時)、スコッチウイスキー協会 |
| 英国の表示の切り替え | 1980年1月1日から、20℃での体積百分率に切り替え | 1979年の命令(SI 1979/241) |
| 米国式のプルーフ | 60°Fでのアルコール分(体積%)の2倍。57%は114プルーフ | 米国連邦規則 27 CFR 30.11 |
| ジンの度数の法定条件 | EUはジン、蒸溜ジン、ロンドン・ジンとも最低37.5%。上限はない | EU規則2019/787 |
| 当サイトの収録 | 48製品。度数の記録がある41製品のうち30製品が57.0〜58% | 当サイトのデータ |
英国式プルーフと57%
英国の1979年アルコール酒類税法(Alcoholic Liquor Duties Act 1979)は、制定時の第2条2項で、蒸溜酒が「プルーフ」の強さにあたる条件を定めていました。酒に含まれるエチルアルコールに蒸溜水を加えて元の酒と同じ体積にしたとき、その重さが同じ体積の蒸溜水の12/13になること、体積はいずれも51°F(約10.6℃)で測ることです。スコッチウイスキー協会が1995年にまとめた解説は、この強さをアルコール分57.1%(51°F)にあたるとしています。業界誌ディフォーズ・ガイドは、100プルーフを体積で4/7の純度と説明しており、4/7は約57.14%です。
英国は1980年1月1日から、酒の強さを20℃での体積百分率で表す国際法定計量機関(OIML)の方式に切り替えました。ネイビーストレングスの57%は、切り替え前の100プルーフを%に直した値にあたります。
米国のプルーフは数え方が違います。米国連邦規則27 CFR 30.11は、プルーフを60°Fでのアルコール分(体積%)の2倍と定めているため、米国式の100プルーフは50%、57%は114プルーフです。
英国海軍と火薬の逸話
57%の由来としてよく引かれるのが、英国海軍と火薬の話です。ただし、出典によって中身が違います。
- 火薬に火がつくかで強さを確かめたという説:英国のジン業界団体ジン・ギルドは、英国海軍の補給部門が注文どおりの強さの酒を受け取ったかを火薬で確かめたと説明し、火薬に火がつく強さを少なくとも100プルーフ(米国式114プルーフ)、57%としています。スコッチウイスキー協会の1995年の解説も、数百年前にはウイスキーと火薬を混ぜて火をつけ、この強さを確かめたと書いています。
- 火薬を駄目にしない強さという説:シップスミスは、1800年代のネイビーストレングスは、荒れた海で火薬にこぼれても火薬を駄目にしない酒を指したとされる、と書いています。
- 海軍の基準は57%ではなかったという指摘:ディフォーズ・ガイドは、英国海軍の強さを54.5%としています。ラム酒に詳しいマット・ピートレックのサイトCocktail Wonkは、英国国立公文書館が所蔵する1939年の海軍の糧食の手引きを引き、ラム酒の支給の強さが1866年2月19日から「4.5アンダープルーフ」(54.5%)と定められていたと紹介しています。
呼び名そのものは新しいとする説もあります。米国のメディアInsideHookは2016年の記事で、プリマス ジンが1993年に57%の瓶詰めを再び出した際、ブランドコンサルタントのジョン・マーフィーが、それまでの「100º UK」に代わる名前として「ネイビーストレングス」を考えたと書いています。一方でジン・ギルドは、プリマス ジンのネイビーストレングスが1793年に英国海軍とともに海に出たと説明しています。ロンドンでの蒸溜の広がりやジン法の流れはジンの歴史で扱っています。
法令上の扱い
EU規則2019/787の付属書Iは、ジン、蒸溜ジン、ロンドン・ジンの最低アルコール分をいずれも37.5%と定めていますが、上限はなく、ネイビーストレングスという語も出てきません。57%のジンでも、ロンドン・ジンの製法の条件を満たせば「ロンドン・ドライ・ジン」を名乗れます。区分ごとの条件はロンドンドライジンとはにまとめています。日本の酒税法第3条が定める品目にも、ジンやネイビーストレングスという区分はありません。
当サイトの収録
当サイトのネイビーストレングスの一覧には48製品を収録しています。データに度数の記録がある41製品の内訳は次のとおりです。
| アルコール分 | 製品数 |
|---|---|
| 50%未満(49.5%) | 1 |
| 50〜56% | 6 |
| 57.0% | 18 |
| 57.1〜57.7% | 10 |
| 58% | 2 |
| 59%以上(59.3〜75.3%) | 4 |
57.0〜57.7%の28製品と58%の2製品を合わせた30製品が、57〜58%に入ります。一覧には、名前に「Navy Strength」を含まない製品もあります。カオルン ハイランド ストレングス ジン(54%)、アイル オブ ハリス タイダル ストレングス ジン(49.5%)、ストレーン アンカット ジン(75.3%)のように、ブランドが高い度数を別の言葉で表した製品も、当サイトではこのスタイルに分類しています。
日本の輸入元・製造元が扱う例
- シップスミス V.J.O.P.:日本ではサントリーが700ml瓶を扱い、同社の商品情報ではアルコール分57%です。シップスミスの英国の公式サイトは70cl・57.7%とし、同社のロンドン・ドライ・ジンの2倍のジュニパーベリーを使い、3日間の漬け込みを含む3段階でジュニパーの香りを移すと説明しています。名前はVery Junipery Over Proofの頭文字です。
- 季の美 勢:京都蒸溜所のジンです。2018年3月のウィスク・イーの発表によると、2017年の東京インターナショナルバーショーの記念ボトルとして限定発売した「季の美 京都ドライジン ネイビーストレングス」をリニューアルしたもので、アルコール分54%、700ml、限定7,500本(うち日本国内3,750本)でした。季の美の英語版公式サイトは、元の季の美と同じ製法で造り、高い度数に合わせて最終的な配合を調整したと説明しています。
買うときに見るところ
- 名前:「Navy Strength」はブランドが付ける名前で、EUの規則や日本の酒税法に条件の定めはありません。度数はラベルのアルコール分で確かめます。当サイトの収録でも49.5%から75.3%まで幅があります。
- 小数点以下の表示:国税庁の説明事項は、ラベルのアルコール分を税率の区分に応じて表示するとし、13度以上14度未満の酒の書き方の一つに「13度」を挙げています。酒税法第23条では、アルコール分37度以上のスピリッツの税率は、20度を超える1度ごとに1キロリットルあたり1万円を加えて決まるため、区分は1度刻みです。この2つを合わせると、57度以上58度未満の酒は「57度」とも書けます。V.J.O.P.の表示が英国の公式サイトで57.7%、サントリーの商品情報で57%なのも、この範囲に収まります。
- プルーフの表記:米国のラベルに書かれる「Proof」は米国式で、114 Proofが57%です。英国式の100プルーフ(約57.1%)とは数え方が違います。
- 割ったときの度数:57%のジン30mlをトニックウォーター90mlで割ると、氷が溶ける分を除いた計算で約14.3%、40%のジンなら10%です。比率ごとの度数はジントニックの作り方に表でまとめています。
- 輸入者の表示:国税庁の説明事項では、輸入品のラベルには輸入業者の氏名または名称と営業所の所在地を表示します。V.J.O.P.のように、日本で売られる瓶と海外の公式サイトとで度数の表示が違うことがあります。
出典
- 英国 Alcoholic Liquor Duties Act 1979 第2条(制定時の条文、legislation.gov.uk): https://www.legislation.gov.uk/ukpga/1979/4/enacted
- 英国 The Alcoholic Liquors (Amendment of Enactments Relating to Strength and to Units of Measurement) Order 1979(SI 1979/241): https://www.legislation.gov.uk/uksi/1979/241/made
- スコッチウイスキー協会「How is the alcoholic strength of Scotch Whisky measured?」(1995年、エディンバラ大学のサイトに掲載): https://www.dcs.ed.ac.uk/home/jhb/whisky/swa/chap6.html
- 米国連邦規則 27 CFR 30.11(Cornell LII): https://www.law.cornell.edu/cfr/text/27/30.11
- Regulation (EU) 2019/787 付属書I(legislation.gov.uk): https://www.legislation.gov.uk/eur/2019/787/annex/I/adopted
- 酒税法(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/328AC0000000006
- 国税庁「酒類の表示に関する説明事項」: https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/11/pdf/012.pdf
- The Gin Guild「Plymouth Navy Strength」: https://www.theginguild.com/ginopedia/gin-brands/plymouth-navy-strength/
- Sipsmith「V.J.O.P. and the History of Over Proof Spirits」: https://sipsmith.com/vjop-and-the-history-of-over-proof-spirits/
- Sipsmith「V.J.O.P Gin」: https://sipsmith.com/product/v-j-o-p/
- サントリー「シップスミス VJOP 700ml瓶」: https://products.suntory.co.jp/d/5060204341540/
- Difford's Guide「Overproof and Navy Strength」: https://www.diffordsguide.com/encyclopedia/192/bws/overproof-and-navy-strength
- Cocktail Wonk「Navy Rum Strength isn't 57%」(2021年8月17日): https://cocktailwonk.com/2021/08/navy-strength-isnt-57.html
- InsideHook「What "Navy Strength" Booze Means, and Where to Find It」(2016年5月12日): https://www.insidehook.com/culture/what-navy-strength-booze-means-and-where-to-find-it
- ウィスク・イー「季の美 勢 京都ドライジン」発売の発表(2018年3月19日、共同通信PRワイヤー): https://kyodonewsprwire.jp/release/201803192089
- KI NO BI GIN「KI NO BI SEI」: https://www.kinobigin.com/en/products/ki-no-bi-sei/
- Wikipedia「Alcohol proof」(補強): https://en.wikipedia.org/wiki/Alcohol_proof
この記事に出てくる銘柄
読んだあとの一本
家で試すなら
- 割り材フィーバーツリー トニックジン1にトニック3。4分の3はトニックなので、味の大半はここで決まる。Amazonで探す ↗ 広告
- 道具加水用スポイト度数の高いものは、スポイトで水を2、3滴。それだけで香りが変わる。Amazonで探す ↗ 広告
- グラスバルーングラス胴が丸く膨らんでいるぶん、ジンの香りがグラスの中にたまります。Amazonで探す ↗ 広告
※ Amazonの検索結果へのアフィリエイトリンクです。価格と在庫はリンク先でご確認ください。
よくある質問
- ネイビーストレングスのジンは何度ですか?
- 57%前後です。英国の旧制度の100プルーフは、スコッチウイスキー協会の解説でアルコール分57.1%(51°F)にあたります。EUの規則や日本の酒税法に決まった数値はなく、当サイトが収録する48製品のうち度数の記録がある41製品では、30製品が57.0〜58%で、ほかは49.5%から75.3%まで分かれます。
- ネイビーストレングスはなぜ57%なのですか?
- 英国海軍と火薬の逸話が引かれますが、出典によって内容が違います。ジン・ギルドは火薬に火がつくかで酒の強さを確かめたと説明し、シップスミスは火薬にこぼれても火薬を駄目にしない強さを指したとされると書いています。一方、ディフォーズ・ガイドは英国海軍の強さを54.5%としており、呼び名は1993年にプリマス ジンの57%の瓶詰めに付けられたとする記事(InsideHook、2016年)もあります。
- 日本で買えるネイビーストレングスのジンはありますか?
- サントリーがシップスミス V.J.O.P.を700ml瓶で扱い、同社の商品情報ではアルコール分57%です。京都蒸溜所の季の美 勢は、2018年3月の発表でアルコール分54%、700ml、限定7,500本とされていました。





