ジュニパーベリーとは|球果の正体とジンでの必須条件・産地

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最終更新 2026-09-29

目次
  1. 早見表
  2. ジュニパーベリーの正体
  3. ジンの定義とジュニパー
  4. 主な産地
  5. 香りの主成分
  6. 買うときに見るところ
  7. 出典

ジンに使うジュニパーベリーは、ヒノキ科の針葉樹セイヨウネズ(学名 Juniperus communis)の実です。植物学上は果実ではなく、肉質化した鱗片が融合した球果(まつぼっくりの仲間)で、EU規則・米国TTB規則のいずれも、ジンの主たる香味をこの実から得ることを求めています。

早見表

項目内容
学名Juniperus communis L.
科ヒノキ科(Cupressaceae)
分類常緑の低木〜円柱状の高木。多くは雌雄異株(まれに同株)
分布北米・ヨーロッパ・北アジア・日本にまたがり、北極を取り巻くように広がる
実の正体肉質の鱗片が融合した球果。種子は通常2回目の生育期に成熟
ジンでの位置づけEU規則・米国TTB規則とも、ジンの主香味として必須
主な産地マケドニア、セルビア、ボスニア、イタリア(トスカーナ)、アルバニアなど

ジュニパーベリーの正体

ジュニパーベリーは、植物学上は「ベリー(液果)」ではありません。米国農務省森林局の資料は、これを「berrylike cones(ベリー状の球果)」と表現しています。肉質の鱗片が融合したこの球果は、英語で galbulus とも呼ばれます。

実が熟すまでには時間がかかります。同資料によれば、球果は熟すと白い粉を帯びた青黒色になり、種子は通常2回目の生育期に成熟し、球果は少なくとも2年は木についたままになるといいます。

セイヨウネズは雌株と雄株が別になる雌雄異株の樹木で、まれに同株の個体もあります。英王立園芸協会(RHS)は、最終的な樹高を4〜8m、その高さに達するまでの年数を10〜20年としています。一方、米国農務省森林局の資料は、北米の大部分では高さ1.5mほどまでの地を這う低木として育つことが多いとし、分布は北米・ヨーロッパ・北アジア・日本にまたがるとしています。

ジンの定義とジュニパー

EUの蒸溜酒規則2019/787は、カテゴリー20「ジン」を、農業由来のエチルアルコールにジュニパーベリー(Juniperus communis L.)で香味を付けた蒸溜酒と定義し、味がジュニパー主体であることを求めています。最低アルコール分は37.5%です。

米国の連邦規則集27 CFR 5.144も、ジンはジュニパーベリーから主たる香味を得なければならず、瓶詰め時のアルコール分は40%以上と定めています。同規則はほかの香味原料を「任意」としており、EU・米国のどちらの規則でも欠かせない原料はジュニパーベリーです。

ジュニパーで香りを付けたオランダの蒸溜酒ジュネヴァとジンの成り立ちは、ジンの歴史とジュネヴァとはにまとめています。

主な産地

業界団体ジン・ギルドは、ジュニパーベリーの主な産地としてマケドニア、セルビア、ボスニア、イタリアを挙げ、マケドニア産は濃厚で油分の多い個性が評価され、イタリア産はよりすっきりとしたフレッシュな香りをもたらすことが多いと説明しています。業界誌ディスティラーマガジンも、イタリアのトスカーナ産が長く高い評価を受けてきたこと、近年はマケドニア産やアルバニア産の評価が高まっていることを伝えています。

ジン・ギルドによると、実は山間部で採集者が手で摘み取ります。収穫期は9月から翌1月で、熟した実だけを棒でたたいてふるいに落とし、未熟な実は翌年の収穫に残します。そのあとふるい分け、場合によっては色で選別し、必要に応じて乾燥させるといいます。

供給地には変化も見られます。AFP通信の記事(phys.org掲載、2026年4月24日)によれば、セルビア商工会議所はセルビアのジュニパー輸出量を年間約1,000トンとし、西欧の一部で収量が落ちるなか、バルカン半島が代替の供給源としての位置を強めていると説明しています。同じ記事で英国ヘリオット・ワット大学の研究者は、収穫期に雨が降ると機械で乾燥させる必要が生じ、実の揮発性成分が変わって蒸溜後の香味に影響しうると述べています。

香りの主成分

業界誌ディスティラーマガジンによれば、ジュニパーベリーには100種類を超える揮発性成分が含まれ、主要な成分であるα-ピネンが、ジンに感じられる松や木を思わせる香りをもっています。量は少ないものの、同じく木のような香りとされるボルニルアセテート、テルピネオール類、β-ミルセンや、柑橘の香りを加えるリモネンも含まれるとしています。

買うときに見るところ

ボタニカル欄に「ジュニパーベリー」とだけ書く製品のほか、産地を明記する製品もあります。「トスカーナ産」「マケドニア産」のような表記は原料の産地を示すもので、品質の等級を示す表示ではありません。

ボタニカルの数が多いか少ないかは、ジュニパーを主香味とする法令上の要件とは別の話です。収録データでの各蒸溜所のボタニカル構成はボタニカル一覧で、造り方全体はジンの造り方とはで確認できます。ジュニパー以外の実が主役になる酒についてはスロージンとはにまとめています。

出典

  • EU蒸溜酒規則2019/787 Annex I https://www.legislation.gov.uk/eur/2019/787/annex/I/adopted
  • 27 CFR 5.144(米国TTB規則) https://www.govinfo.gov/content/pkg/CFR-2024-title27-vol1/pdf/CFR-2024-title27-vol1-part5-subpartI.pdf
  • USDA Forest Service, Fire Effects Information System「Juniperus communis」 https://research.fs.usda.gov/feis/species-reviews/juncom
  • 英王立園芸協会(RHS)「Juniperus communis」植物データ https://www.rhs.org.uk/plants/9557/juniperus-communis/details
  • The Gin Guild「Ginopedia: Juniper」 https://www.theginguild.com/ginopedia/gin-botanicals/juniper/
  • Distiller Magazine「Juniper」 https://distilling.com/distillermagazine/juniper/
  • phys.org(AFP)「Wild Balkan berries keep gin taste steady as climate shifts」(2026年4月24日) https://phys.org/news/2026-04-wild-balkan-berries-gin-steady.html
  • Wikipedia「Juniper berry」(galbulusの語の補強) https://en.wikipedia.org/wiki/Juniper_berry

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よくある質問

ジュニパーベリーは本当に「ベリー」なのですか?
植物学上は真の果実(液果)ではありません。米国農務省森林局の資料はこれを「berrylike cones(ベリー状の球果)」と表現しており、肉質の鱗片が融合した球果です。同資料によれば、種子は通常2回目の生育期に成熟します。
ジュニパーベリーの主な産地はどこですか?
業界団体ジン・ギルドはマケドニア、セルビア、ボスニア、イタリアを主な産地に挙げています。業界誌ディスティラーマガジンは、イタリアのトスカーナ産が長く高い評価を受けてきたこと、近年はマケドニア産やアルバニア産の評価も高まっていることを伝えています。
なぜジンにはジュニパーベリーが必須なのですか?
EUの蒸溜酒規則2019/787は味がジュニパー主体であることを、米国の連邦規則集27 CFR 5.144はジュニパーベリーから主たる香味を得ることを、ジンの条件としています。米国の規則では、ほかの香味原料は任意です。

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